株式会社武蔵野
取締役

大学卒業後、株式会社武蔵野に入社。ダスキン事業部でのレンタル商品営業を経て、経営コンサルティング事業へ。その後、ダスキン事業部の部長と採用担当を兼任した際、採用ミスマッチの深刻さを痛感。その経験から、採用支援サービス『kimete(キメテ)』やアセスメントツール事業を立ち上げる。現在は取締役として、経営コンサルティングや採用支援、環境衛生事業など、多岐にわたる事業を統括している。
弊社の主力である経営コンサルティング事業は、少し変わった経緯で誕生しました。もともと学校の先生だった創業者が株式会社武蔵野をつくり、薬局やダスキンのフランチャイズを始めたのがきっかけです。
しかし、当時の社内は「やんちゃ集団」と呼ぶにふさわしい荒れた状態だったそうです。そこに、以前から創業者のもとでアルバイトをして恩義を感じていた現在の代表・小山が入社しました。小山は、ろくでもない社員集団を時には厳しく指導して立て直し、組織として機能するように変えていきました。
「あんな集団を立ち直らせることができるなら、その仕組みは他社でも通用するのではないか」。そんな発想から始まったのが、現在の経営コンサルティング事業です。私が入社した頃は社員3名ほどの駆け出しの部署でしたが、現場の泥臭い経験から生まれたノウハウだからこそ、多くの経営者の共感を呼ぶことになったのです。
現在では、経営コンサルティングに加え、採用支援や環境衛生事業など多岐にわたる事業を展開していますが、すべての根底にはこの「再生」の原体験があります。
私たちの事業における最大の特徴は、机上の空論ではなく「すべて自社で実践し、成果が出たものだけをお客様に提供する」という徹底した姿勢です。お客様からはよく「武蔵野さんは高速道路だ」と言われます。料金はかかるけれど、目的地に早く着ける。ナビはないけれど、実践済みの確かなルートがあるからです。
特に採用支援では、私たちが実際に使用しているツールを提供しています。たとえば適性検査の『マルコポーロ』は、能力だけでなく性格の相性を可視化し、組織内でのマッチング精度を高めるツールです。また、『ネット探偵』は、SNS上の情報を分析して採用リスクを回避するためのサービスとして提供しています。これらはすべて、私たちが採用におけるミスマッチやトラブルに直面し、それを解決するために開発・運用してきたものです。
さらに、現在700社以上の会員企業様がいらっしゃいますが、そのコミュニティの質も大きな強みです。私たちは、既存会員様のライバルとなる企業の入会はお断りしています。利害関係を排除することで、会員様同士がお互いのノウハウや失敗談を包み隠さず共有できる環境をつくっているのです。経営者同士が本音で語り合い、切磋琢磨できるこのコミュニティこそが、他社には真似できない財産です。
これまでのキャリアの中で、忘れられない失敗と転機が2つあります。
1つ目は2011年頃、ダスキン事業部の部長を務めていたときのことです。当時は「昭和型」の価値観で、「人が辞めるのも、辞めさせるのも、悪いことではない」と本気で考えていました。その結果、多くの部下を辞めさせてしまいましたが、自分が会社に損失を与えている認識はまったくなかったのです。しかし、その苦い経験と反省があったからこそ、採用のミスマッチという課題に真剣に向き合い、現在の採用支援事業を立ち上げることにつながっています。
2つ目は、2020年のコロナ禍における出来事です。世の中が混乱する中、弊社の幹部陣はお客様よりも会社の利益や保身を優先し、オンラインセミナーの価格を据え置こうとしていました。その姿勢に違和感を覚え、「これでは会社がおかしくなる」と思い詰めた私は、血尿が出るほどのストレスを抱えながら、小山への直談判に臨んだのです。「間違っていると言われたら辞めよう」と背水の陣を覚悟しての行動でした。
そのとき、小山からかけられたのは「お前も成長したな」という意外な一言でした。その言葉で「自分の感覚は間違っていない、自分が何とかしなければならない」と腹が決まったのを覚えています。それまでは短期的な結果に一喜一憂していましたが、この経験を通じて、長期的視点でお客様や会社の未来を考える、経営者としてのマインドセットが確立されたと感じています。
私は、人生には3つの大きな分岐点があると考えています。「進学」と「就職」、そして「恋愛・結婚」です。この3つの選択におけるミスマッチをなくすことが、私たちの使命です。
現在は「就職」の領域に注力していますが、いずれは「進学」や「恋愛」のステージにも踏み込んでいきたいと考えています。特に「恋愛・結婚」は、個人の幸福度だけでなく、仕事のパフォーマンスにも大きく影響します。家庭がうまくいっていなければ、仕事にも身が入りません。だからこそ、私たちのノウハウを活かせるはずです。
また、若い世代への教育も重要なテーマです。最近は「プライベート優先」「無理をしたくない」という若者が増えています。それも一つの価値観ですが、私はあえて言いたい。「20代で汗を流さなかったやつは、40代で涙を流すことになる」と。これはかつて上司に言われた言葉ですが、年齢を重ねるごとにその重みを痛感しています。
20代は、失敗を恐れず目の前のことに必死に食らいつく時期です。その経験の「量」が、将来の自分の土台になると考えているからこそ、弊社では新卒社員に対して、内定者の段階から研修を行い、社会人としての基礎を徹底的に叩き込みます。挨拶や礼儀はもちろん、飛び込み営業などの厳しい経験もさせます。それは入社後のギャップをなくし、彼らが将来どこに行っても通用する人材に育てるためです。
これから社会に出る学生の皆さん、あるいは転職を考えている若者の皆さんに、「条件や知名度だけで会社を選ばないでほしい」と強くお伝えしたいです。私も就職活動時は条件ばかりを見ていましたが、実際に働いてみて痛感したのは、環境が人をつくり、その環境をつくるのは「人」に他ならないという事実でした。
誰と一緒に働くか。誰に指導を受けるか。それが、あなたの成長とキャリアを決定づけます。どんなに立派な理念を掲げていても、それを体現している社員がいなければ人は育ちません。逆に、たとえ小さな会社であっても、尊敬できる上司や切磋琢磨できる仲間がいれば、人は驚くほど成長できます。
私の人生を変えたのは、株式会社武蔵野という環境であり、そこで出会った小山をはじめとする「お節介なほど世話好きな仲間たち」でした。彼らは、私が間違った方向に進もうとしたときには、本気で叱り、引き戻してくれました。そんな人間関係が希薄になりつつある現代だからこそ、泥臭く人と向き合い、本音でぶつかり合える環境の価値は高まっていると確信しています。
面接や会社訪問の際には、ぜひ「そこで働く人たち」をよく見てください。そして、「この人たちのようになりたいか」「一緒に働きたいか」を自分自身に問いかけてみてください。仕事は楽しいことばかりではありません。辛いときに支え合い、励まし合える仲間がいるかどうか。それが長く働き続け、成果を出すための鍵となります。