株式会社Collection Bank
代表取締役

福岡の大学卒業後、家具営業、設計事務所での修業を経て、デベロッパーにて内装デザインに従事。その後、不動産テック企業に参画し、COO・専務として事業拡大および上場を経験する。退任後、自身が保有していたコレクションの管理に課題を感じたことをきっかけに、株式会社Collection Bankを設立。コレクター向けに、保管・管理・価値の可視化までを一体で提供するサービスを展開している。
弊社は、アートや時計、ワインなどのコレクションを預かり、保管・管理・価値の可視化までを行う会社です。
きっかけは、私自身の体験でした。前職を退任する際、会社に置いていた約300点のコレクションをトランクルームに移そうとしたところ、スペースが足りず、さらに一部にはカビが生えている状態でした。そのとき初めて、「自分が何を持っていて、いくらの価値があるのか」を正確に把握できていないことに気づいたのです。
アートの管理を専門に行うサービスを探しましたが、実質的に存在しませんでした。個人でアドバイザーを雇う方もいますが、巨額の資産を個人の信用だけに委ねることへの不安もありました。個人で管理するにも、Excelや紙ベースが中心で、資産として扱うには不十分な状態です。
「これだけの価値があるものが、きちんと管理されていないのはおかしい」
そう感じた私は、不動産テック企業での経験を活かし、「ITを活用すれば適切に管理できるはずだ」という確信のもと、自分のために仕組みをつくることを決意しました。それがCollection Bankの原点です。
そしてこれは、私だけでなく、多くの人が抱えている共通の課題でもあると気づきました。
多くの人がコレクションを保有していますが、それらを資産として管理できているケースはほとんどありません。
どこにあるのか分からない、状態が把握できていない、価値も曖昧なまま
本来価値のあるものが、見えないまま放置されているのが現状です。
弊社では、預かったすべてのコレクションを開封し、専門スタッフが撮影・状態記録を行い、データとして管理します。これにより、「何を持っているか」「どのような状態か」「どの程度の価値があるか」を一元的に把握できるようになります。
お預かりはLINEだけで手配でき、1点からでも対応しています。小さなものは宅配便での発送も可能です。出し入れの際もご連絡いただければ弊社が手配するため、オーナー様が倉庫へ足を運ぶ必要はありません。
また、保管環境についても、資産としての品質を維持する前提で設計しています。保管場所となる倉庫では、24時間体制で温度・湿度を管理し、災害対策も徹底しています。金融資産と同じように、保有資産の“保全”まで設計しています。
さらに、保管だけでなく、売却や活用のサポートまで行うことで、コレクションの価値を最大限に引き出します。大切なコレクションを手放さずに済むこと、「売らなくてもいい」という安心感も、多くのお客様に喜ばれているポイントです。コレクションは、ただ持つものではなく、
きちんと管理することで“資産”になります。
これまでのキャリアは、決して順調ではありませんでした。新卒で入社した会社は1年で退職し、その後はスキルもないまま設計事務所に飛び込み、夜はバーテンダーとして働きながら経験を積みました。
コレクションにおいても、トレンドで価値が下がったり、購入方法を誤って損をしたこともあります。ただ、この分野は実際に買ってみないと分からないことが多く、そうした経験を通じて理解を深めてきました。そもそも物を集めるという行為は、お金が自由に使えなかった頃の憧れや、かつて手放してしまったものへの懐かしさから生まれると思っています。子どもの頃に雑誌で見て「いつか欲しい」と思っていたもの、親に捨てられてしまった大切なもの、実はみんなが良いと言っているものとは違って好きだったもの、そういった個人的な記憶や思いが、大人になりお金を手にしたときに初めてコレクションという形になっていくのではないでしょうか。だからこそ、実際に買って経験を重ねることでしか分からない価値があると感じています。
事業についても同様です。前職で事業を拡大するフェーズを経験したことで、成長のプロセス自体は理解していました。しかし、ゼロから立ち上げることはまったく別の難しさがあります。リソースも信用もない状態では、思い描いた通りには進みません。それでも前に進めるかどうかは、結局「やるかどうか」だと思っています。不確実な状況でも動き続けることが、ゼロを1に変える唯一の方法だと実感しています。
現在のコレクション市場は、購入した後の管理が個人に委ねられているケースが多く、適切に管理されないまま価値が失われてしまうことも少なくありません。現状のコレクション市場は、販売したら関係が終わり、管理できなくなれば安く買い取られ、また高値で売られるという循環が繰り返されています。これでは資産形成ではなく、不用品の処理になってしまいます。
私たちは、コレクションを「持っているだけのもの」から、「きちんと管理され、価値を保てる資産」へと変えていきたいと考えています。日本では金融資産に偏った資産形成が主流ですが、今後は実物資産も含めて、全体で資産を考える時代になっていくはずです。すでに海外からの問い合わせも多く、今後はグローバル展開も視野に入れながら、この仕組みを広げていきたいと考えています。
多くの方が、金融資産は把握していても、実物資産については管理できていないのが実情です。見えていない資産は、守ることも活かすこともできません。一度、ご自身の資産全体を見直してみてください。そこに、新たな可能性があるかもしれません。
今は、さまざまな方法でお金を稼ぐことができる時代です。だからこそ、「何をやるか」がより重要になっていると思います。自分が本当に正しいと思えることに取り組むこと。そして、それを粘り強く続けること。周囲に合わせて方向を変えるのではなく、本質的に価値があると信じられるものを見極めてください。表面的な情報や見せ方に惑わされず、自分の目で判断し、挑戦を続けてほしいと思います。
また、最初に就いた仕事はその後のキャリア全体に影響を与えます。待遇や見栄えだけでなく、自分が本当に楽しいと思える業種かどうか、世の中に役立つ仕事かどうかを真剣に考えてみてください。苦しい場面でも、楽しいと思える仕事であれば乗り越えられるはずです。