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人と企業の可能性を最大化! 才能を埋もれさせない社会をつくる事業戦略とは

SAMURAI CEO2026

未知株式会社
代表取締役CEO

下方 彩純

1985年、大阪府泉佐野市生まれ。新卒でITベンチャー企業に入社後、株式会社フリープラスの立ち上げに参画。Webマーケティング事業やアパレル事業などの立ち上げを経験し、2011年に取締役として就任。売上40億円、200名規模の組織成長に貢献したのち、2017年に未知株式会社を設立。現在は企業のブランディング支援などを行うコーポレートコーディネート事業を展開する傍ら、学歴や職歴によらない「ポテンシャル採用」の普及に尽力している。

人と企業の「埋もれた価値」を輝かせる、創業の原体験

私は2017年に未知株式会社を立ち上げました。起業の背景には、私自身が「レッテルを貼られることで見逃されている才能」を数多く目にしてきた体験があります。

特に印象に残っているのが、前職である部下を持ったときのことです。その部下は1年半で30万円しか売上がつくれず、「できない人間」というレッテルを貼られかけていました。しかし、私が指導法を少し変えて接したところ、その後半年で営業リーダーを務めるまでに成長し、年収3倍の条件でヘッドハンティングされるほどの人材へと変貌を遂げたのです。接し方ひとつで人は劇的に変わる。その事実を、身をもって知った出来事でした。

現在、弊社が手がけているコーポレートコーディネート事業は、そうした「埋もれている価値」を輝かせる仕事です。経営者への深いインタビューを通して、企業の発信しきれていない魅力や思いを言語化し、コーポレートサイトや採用メディアといった形に落とし込みます。

企業の重要な理念や価値が反映されていないWebページは数多くあります。その「見えない価値」を掘り起こし、最適な形で世の中に届けることで、企業の営業力や採用力を高めています。

企業の中に眠るポテンシャルを引き出すこの姿勢は、私たちが向き合う「人」に対しても変わりません。経歴や既成概念によってレッテルを貼られ、本来の才能を発揮できていない人たちに光を当て、社会で大成できる場をつくっていきたい。すべての人が輝く世界を実現したい。弊社の事業には、そんな思いが込められています。

誰もが内に秘めた、「まだ見ぬ力」を引き出す企業ミッション

弊社は、「世のポテンシャルを飛躍させる」というミッションを掲げ、誰もが内に秘めている「まだ見ぬ力」を引き出すことを使命としています。人は本来、どこかの領域で必ず輝けるはず。ただ、その輝くためのスイッチに出会えていないだけです。そのスイッチはまだ「未知の領域」にあるからこそ、私たちが見つけて押してあげたい。その思いを「未知」という社名に込め、企業や人が持つ可能性を社会へ正しく届けることを大切にしています。

弊社が展開するコーポレートコーディネート事業の最大の特徴は、「左脳(論理・分析)」と「右脳(感性・創造)」の両軸から企業の価値を引き出せる点です。経営者への深いインタビューを通じて、自分でも気づいていなかった思いや戦略を整理・言語化(左脳)し、それを直感的に伝わるデザイン(右脳)へと落とし込む。このマーケティングとブランディングを両立させたプロセスこそが、他社にはない強みです。

また、「納品して終わり」にしない点も重視しています。多くの制作会社がつくった段階でゴールとする中、私たちはその後の運用こそが本番だと捉えています。弊社では、3か月に1回の定期的な対話を通じて、進化する企業の事業に合わせて方向性をアップデート。さらに、アクセス解析に基づいた改善やコンテンツの追加など、成果を出すための実行支援まで徹底して伴走することで、企業の魅力を最大化し続けています。

「思いを言語化し、デザインに落とし込む力」と「実行まで寄り添う力」。この2つを武器に、私たちは企業の魅力と人の可能性を最大化し、すべての人が輝ける社会の実現を目指しています。

募る会社への不信感…危機から得たのは仲間を信じる強さ

経営を続ける中で、私には今でも鮮明に思い出す「失敗」があります。創業3期目、組織が急拡大する中で、中途採用を進めたときのことです。社員の間に、「自分たちは会社に都合よく利用されているのではないか」という疑心暗鬼が広がり、経営陣への不信感が蔓延してしまったのです。

売上は右肩上がりなのに、私は会社に行くのがつらいと感じるほど。ある日の朝礼で「この会社を畳むことも考えている」と弱音を吐露しました。しかし同時に、私は社員たちの不安に対してこう訴えかけました。

「私に社員を裏切るメリットなんて1%もない。私は決してみんなを裏切らない」

その対話こそが転機でした。「その言葉が聞きたかった」と言って残ってくれた仲間たちが、今では組織の中核を支えてくれています。

こうした苦難や自身の限界と向き合う中で、私は一人で抱え込まず人に任せることを覚え、仲間を信じる強さを得ました。失敗は痛い。しかし、向き合えば必ず未来の糧になる。これが、私が若い方々に最もお伝えしたい学びです。

また、私には「人生にもミッションとビジョンを持つ」という個人的な信念があります。これは、会社経営と同様に人生にも軸が必要だという意味です。ミッションやビジョンを達成するために必要なことは何か。それは、「時間」と「目的」を意識することです。そのため、私は目的が異なる会合への参加は控えるようにしています。限られた時間を何のために使うのか。経営においても人生においても、それを意識して物事に臨んでいます。

事業・拠点・業界。すべての常識をアップデートしたい

私の次の目標は、「可能性を開く事業をもっと増やす」ということです。今、私たちはマーケティング・ブランディング・HRという領域で事業を展開していますが、これらは高い専門性が求められる難易度の高い仕事です。だからこそ、今後はより多くの人が自信を持って活躍できるよう、もっとシンプルで成果が出しやすい事業を生み出していきたいと考えています。たとえば、導入のハードルが低い商材や、マッチングによって価値を生むシステムエンジニアリングサービスなど、ポテンシャル人材が成功体験を積み上げられるような、挑戦の「第一歩」となる事業をつくりたいですね。

もう一つの大きな構想が「未知ベース」の実現です。私は、オフィスは家のように戻りたくなる場所であるべきだと考えています。仕事が終わればカラオケで息抜きし、サウナや大浴場で整い、エステや酸素カプセルで回復できる。そんな多機能型の新しいワークスペースをつくりたいのです。働く場所そのものが、人生の満足度を高める拠点になるような未来を描いています。

さらに、業界全体に目を向けると、「サイトをつくって終わり」になっている現状がありますが、本質的な価値はその後の運用にあります。私は、制作後の成果まで責任を持つ「伴走型支援」を当たり前にし、業界全体のスタンダードを底上げしていきたい。事業も働き方も、業界の常識すらもアップデートする。その挑戦を、これからも仲間とともに続けていきたいです。

学生こそ自分と向き合う時間を持ち、人生の舵を自分で握ろう

私が学生のみなさんに一番伝えたいのは、「自分の人生の軸を、できるだけ早く持ってほしい」ということです。私自身、人生が大きく変わった瞬間は、この“軸”が定まったときでした。

きっかけは、自分が死ぬときの姿を逆算して考えたことです。私は「芸能人のように、多くの人に見送られる葬式をしたい」と本気で思いました。そのためには、人生を通して誰かの力になり、忘れられないほどの価値を届ける必要がある。そう考えたとき、「劣等感を抱えて苦しむ人を、1人でも多く、できる自信をつけることで変えていく」という自分のミッションが見えてきました。

夢や理想は、誰に何と言われようと、自分だけの所有物です。途中で変わってもいい。私も何度も変えてきました。でも、「今の自分はどんな人生を歩みたいのか」という軸を持たなければ、キャリアも働き方も、お金に対する考え方すらもブレてしまいます。

だからこそ、学生のうちから自分と深く向き合う時間をつくってほしいと思います。自己分析や他己分析はそのための手段に過ぎません。「自分は何に幸せを感じるのか」「どんな生き方をしたいのか」、この問いに向き合う人ほど、人生の舵を自分で握れるようになると思います。