株式会社Engineerforce
代表取締役

福岡県出身。代々歯科医師の家系に育ち、自身も歯科医を目指すが、高校時代の文理選択を機に別の道を模索。富士ソフト株式会社での営業職、外資系IT企業を経て、29歳で株式会社Engineerforceを設立。「デザインに強いIT企業」として、システム開発とデザインを融合させた事業を展開している。9,000人規模の組織を目指し、IT業界の新たな模範となるべく挑戦を続けている。
私の親族は皆、歯科医師として活躍しています。しかし高校生の頃、文系・理系の選択で歯科医師にはなれない文系を選んでしまった。それが一つの転機でした。選択した科目では歯科医師への道が閉ざされると知ったとき、目に入ったのがITの力で世界を熱狂させる経営者たちの姿でした。
彼らのダイナミックな姿に憧れ、「経営者になりたい」という思いが芽生えたのです。そして「30歳までには起業する」という目標を掲げ経験を積み、29歳でその一歩を踏み出しました。現在は、システム開発とUI/UXデザインを主軸に事業を展開しています。
弊社では、「提案」を大切にしています。言われた仕様通りにつくるだけでは面白みがなく、介在価値も低いと考えているためです。「その機能は本当に必要なのか」と問いかけ、お客様とともに考え、納得した上で開発を進める。そうすることで、単なる受託ではなく、私たちも腑に落ちた状態でより良いものをつくり上げられると考えています。
弊社の最大の強みは「デザインができるIT企業」である点だと思っています。一般的なシステム開発会社にはデザイナーが不在なことが多く、機能的でも使いにくいシステムになりがちです。対して弊社には優秀なデザイナーが在籍しており、開発の上流工程である「情報構造の設計」から一気通貫で手がけられます。
その強みが発揮された代表例が、株式会社PKSHA Technology様のプロジェクトです。AI技術を用いた大規模なサービスのUI/UXデザインを担当し、画面数は100画面以上に及びました。高度なソリューションであればあるほど、裏側のロジックは複雑になります。それをいかに整理し、ユーザーが直感的に使える画面構造に落とし込めるか。これはエンジニアの力だけではなく、プロのデザイナーによる「情報整理」があって初めて実現できるものです。このような大規模案件でも、UI/UXデザインまで責任を持って構築できる点が他社との差別化要因となり、お客様からも高く評価いただいています。
組織運営では、3つのバリューを共有しています。1つ目は「相互扶助」。個人の時代にあえて組織に属するのは、困ったときに助け合える環境があるからです。2つ目は「プラスアルファの提案」。そして3つ目が「迷ったらやる」ということです。仕事を進める中で、「この提案をした方が良いのか?」「やめておくべきか?」と判断に迷う場面があります。そのようなときこそ、まずは一歩踏み出してみる。迷いは行動でしか解消されないからです。お客様にとってより良いものを届けるために、リスクを恐れず提案していく。その積み重ねが、結果として価値の高い成果物につながっていくと考えています。
同時に、「愚痴を言わない」ことも徹底しています。不満を言うのではなく、改善のための提案に変えていく。価値観を共有できる仲間とともに、質の高いデザインとシステムを提供し続けることが、弊社のミッションです。
これまでのキャリアで特に印象深いのは、新卒で入社した頃の経験です。当時配属された部署には営業担当が私一人しかおらず、一般社員でありながら数値管理や事業計画書の作成まで行う必要がありました。当時は「なぜここまでやらなければならないのか」と思うこともありましたが、残業をしながらもこなしていたところ、この経験が起業後に大きな武器となりました。
銀行融資のために事業計画書を作成した際、会社員時代に鍛えられたおかげで、担当者から「起業したてでここまでしっかりした計画書は初めて」と高く評価されたのです。当時は理不尽に思えた業務も、結果的に経営者としての基礎体力になったと思います。
スティーブ・ジョブズの「Connecting the dots」という言葉がありますが、まさにその通りです。過去の経験という「点」が、将来つながって「線」になる瞬間があります。だからこそ、若い頃の苦労やハードワークは決して無駄になりません。目の前の課題に本気で取り組むことでしか得られない経験値があり、それが未来の自分を助けてくれるのです。
今後の展望として、まずはIT企業として規模を拡大し、大きな会社に成長させたいです。具体的には、従業員数9,000人という目標を掲げています。なぜ規模を追うのかというと、IT業界自体が抱える課題を解決し、模範となるような存在になりたいと考えているからです。
実は、世の中のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しているはずのIT企業の多くが、自社の社内システムは整理されておらず、業務フローがぐちゃぐちゃであるという矛盾を抱えています。私は、こういった現状を変えていきたいのです。自社のシステムや業務プロセスが美しく整えられ、効率的に機能している。そんな「IT企業のお手本」のような会社をつくり上げることが目標です。
デザインに強い弊社だからこそ、システムの中身だけでなく、働く環境や仕組みそのものも美しくデザインされた組織でありたいと考えています。そのモデルケースを確立し、9,000人規模の組織でそれを運用できれば、業界全体に対して大きなインパクトを与えられるはずです。
経営を続ける中で、私自身の経営の知識もつき、大企業の経営者の方とお会いしても物怖じせずに話せるようになってきました。しかし、現状に満足することなく、さらなる高みを目指しています。単に売上を伸ばすだけでなく、組織としてのあり方や美意識においても業界をリードする存在になること。それが、弊社の描く未来図です。
学生の皆さんには、若いうちのハードワークを恐れずに挑戦してほしいです。定時だからなどと自分で限界線を引かず、仕事に没頭する経験が人を大きく成長させます。
また、学生時代に飲み会などの幹事も経験しておいたほうが良いでしょう。日程調整や店選び、会計、ドタキャンへの対応など、幹事の業務にはビジネスに必要な調整力やリスク管理能力が凝縮されており、多くのことを学べます。
最後に、一緒に働きたいのは「自責の心」を持つ方です。失敗を他責にせず、「自分の行動で何を変えられたか」を考えられる方。すべてを自分ごととして捉え、困難な状況でも改善策を提案できる気概のある方と、業界の常識を変える挑戦をしたいと願っています。